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「シルバーレイン」麒麟寺いろ香(b04290)とネフティス・ヘリオポリス(b31266)の覚え書き等々。「シルバーレイン」をご存知ない方は回れ右をお勧めします。



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もう、あまり泣く事もなくなっていた。
崩れるように麻痺していく色々な感情を、惜しいとも思わない。
むしろそんな余計なものは要らないとさえ感じ始めていた。

それでも、いろ香の感情が完全に消え去る事はなかった。

…お祖父様に会いたい…。

小さな体をぴしりと正して座るその虚ろな瞳に、
少しだけ、潤んだように光が差す。

大好きな祖父の存在だけが、
かろうじていろ香の精神を現実に引き留めていた。

「お前は本当に、いい子だよ…」

家族も親戚も 皆がいろ香を疎むような目で見る中、
祖父だけはそう言っていつも笑顔を向けてくれた。

自分は誰にも愛されていない…。
この気持ちを唯一打ち消せる、祖父の言葉。

そっと頭を撫で、抱き寄せて…
その腕の中が、いろ香にとってたったひとつ、安息の場だった。


「いろ香」という名も、祖父がつけてくれた。
色づく花のように香る、女の子らしい子になるように。
だからいろ香は、この名前がとても気に入っていた。

髪に花を挿してくれたのも、祖父だった。
大事にしていた庭の花を摘み、お前はよく花が似合うと褒めてくれた。
それから、いろ香はいつも花飾りを挿すようになった。

ただ一人、自分を愛してくれる人。

けれど祖父は多忙の身。滅多に帰る事はない。
両親は祖父がいない隙にと、いろ香を座敷牢に追いやった。


…最後にお祖父様に会ったのはいつだったろう…。

少なくとも、ここに閉じ込められてからは一度も会っていない。
こんな所にいては、祖父が家にいるのかどうかさえわからない…。

静まり返る暗がりの中で、
大好きだったあの優しい笑顔さえ、霞んで消えていくようだった。

不意に正していた背筋の力が抜け、崩れるように畳の上に横たわる。
髪と着物が、少し乱れた。

…このままこの暗闇の中に、沈んで消えてしまいたい…。

乱れた漆黒の髪がまるで闇に溶けるようで、
なのにこの場から消える事の出来ない自分が、無性に虚しかった。
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■キャラ設定やら何やら置いてあります。極稀に背後もしゃべります。極端なアンオフィになるようなものは無いと思いますが、苦手な方はご注意下さい。 ■リンクやらコメントやらはご自由に~。 ふつーに喜びます。
■このブログに掲載されているイラスト作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権は「はち」に、著作権は各イラストマスターに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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