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「シルバーレイン」麒麟寺いろ香(b04290)とネフティス・ヘリオポリス(b31266)の覚え書き等々。「シルバーレイン」をご存知ない方は回れ右をお勧めします。



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…その日は月の綺麗な夜だった。
ただ、風がひどく強い。
ようやく満開になった庭の桜は、ほとんどが散り落ちていた。

高く小さな窓から射す美しい月明かりと、狂ったようにざわめく庭の木々。
噛み合わぬその様に、何故だかいろ香は漠然と不安を感じていた。

気持ちがそわそわと落ち着かない。
全く寝付く事が出来ず、起き出して本棚から適当な本を手に取る。
しかし頁を開いても、全く読む気になれなかった。

もっと何か、大事な事がある気がする。
今 自分がしたいのは、こんな事ではなくて…。

靄がかかったようなもどかしさに眉根を寄せる。
胸騒ぎはするが、蟲たちは疼かない。
では、この感じは一体何なのだろう…。


「失礼します、お嬢様。起きて下さい…!」

突然、障子の向こうから家政婦の声がした。
張り詰めたその声色が、いろ香の予感を確信へ近づける。

「……起きています。何ですか…?」

障子越し、不安を押し殺すように平静を装い、返事をする。
その様子に家政婦は一瞬驚いたようだったが、
何やら納得したように言った。

「…大旦那様が先程…お倒れになりました」

予感は、最悪の方向へと的中した。
一瞬 眩暈のようなものを感じ、頭の中がぐらりと混濁する。

お祖父様が
お祖父様が……

…不意に、部屋の中が暗くなった。
厚い雲が月を隠し、木々の狂ったざわめきだけが残る。

「出発のご用意は出来ております。いろ香様も、お支度を」

家政婦にそう告げられ、
途切れそうになる意識を何とか繋ぎ止め、返事をする。

仕事中に突然倒れた祖父は、いろ香を呼んでいると言う。
恐らく、この事を知らされていなかったのはいろ香だけなのだろう…。
祖父が以前から体調が思わしくなかった事も、何も知らされていない。
悔しさと虚しさが、渦のように胸をかき乱した。


…手が震える。
慣れているはずの着物が、上手く着られない…。
こんな時にもたつく自分に苛立ちを覚え、それが余計に手元を狂わせた。

崩れた着物から覗くその肌は青白く、
不安に揺れる瞳はどこか焦点がぼやけている。
だが、そんな中でもいろ香はしっかりと髪に花飾りを挿し、部屋を後にした。

…祖父に会うのは、五年ぶりだった。
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■キャラ設定やら何やら置いてあります。極稀に背後もしゃべります。極端なアンオフィになるようなものは無いと思いますが、苦手な方はご注意下さい。 ■リンクやらコメントやらはご自由に~。 ふつーに喜びます。
■このブログに掲載されているイラスト作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権は「はち」に、著作権は各イラストマスターに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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