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「シルバーレイン」麒麟寺いろ香(b04290)とネフティス・ヘリオポリス(b31266)の覚え書き等々。「シルバーレイン」をご存知ない方は回れ右をお勧めします。



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十五の夏のある日。
いろ香は久しぶりに両親の顔を見た。

相変わらず、自分と目を合わせようとはしない。
困ったような、迷うような、複雑な顔で目を泳がせる両親。
そんな姿もすっかり見慣れていたいろ香は、
ただじっと二人を見据えていた。

どこか虚ろで、それなのに全てを見透かしているような、
深い青紫の瞳で…。

「…学校へ、通いなさい」

父親から発せられた言葉は、予想外のものだった。

「…学校…?」

あまりに意外な一言に、いろ香は思わず聞き返す。
これまで学校に通った事などなかったが、
家庭教師のお陰で義務教育だけは終わっていた。
つまり、高校へ行けという事なのか…?

「…この学校なら…きっとお前も、大丈夫だろう…」

途切れ途切れにそう言って、
白い封筒に収まった学校の資料らしきものを差し出す。

この学校なら大丈夫…。
真意はわかりかねるが、要するに体のいい厄介払いという事か…。

じっと両親を見ていた視線を落とし、
差し出された白い封筒を興味なげに見遣る。

「…わかりました」

ゆっくりと目を閉じ、資料を手に取りもせず返事をした。
自分は与えられた環境に従うしかない…。
そもそもいろ香には、自分がどうしたいか、などという発想自体がなくなっていた。


返事を聞くと、両親は学校へ行く日取りを告げ そそくさと出て行った。
逃げるような背中を見送り、後に残った白い封筒に視線を移す。

こんなもの、見た所でどうという事も無いだろう…。
そう思い、無造作に机の上にそれを置いた。
その時 ちらりと、資料に書かれた学校の名前が見えた。

銀誓館学園。

ふとその名を目にした時、妙な感覚を覚えた。
しばらく感じていなかった、蟲たちの蠢きが甦る。

…胸騒ぎと懐かしい疼きの中、
いろ香はいつの間にか、自然とそれを手に取っていた。
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■このブログに掲載されているイラスト作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権は「はち」に、著作権は各イラストマスターに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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